食と農とヒトの歴史2

生産者からの独立革命、その名も“農業“

前回の記事“食と農とヒトの歴史1”では消費者であるヒトは生産者である植物に生死を握られていたという話をした。今回は農業の発明によってその関係がどう変化したかについて書いた。

下克上!植物を飼い馴らし始めたヒト

植物という装置でご飯を生み出す過程

 皆さんご存知の通り、人類400万年の歴史の中で、ここ1万年前からヒトは植物を栽培し始めた。猟や漁や植物の収穫など収集を行うことで食料を得ていたヒトはある時自分たちで植物を育てそれを収穫することで腹を満たすことを思いつく。植物に支配されていた状況から一変、ヒトは植物を“デンプン(ごはん)を作り出す道具”として利用しようというのだ。これが農業の始まりである。石器が植物を収穫する道具だったヒトからしてみれば、その収穫対象自体を道具とするのは奇才な発想だっただろう(農が当たり前になった私たちにはわからない気持ちやと思う)。

 ヒトは土地を耕し、植物というデンプン生産マシンを設置し、太陽光と空気と土壌を投入することで、自分たちのご飯を調達し始めたのだ。農業は地球上で瞬く間に広まり、世界各地で小麦、米が栽培され始めた。ヒトは獲物が得られる見込みが不透明な採集生活から、安定して食が得られる農生活に移行した。植物の支配から独立を果たしたのだ。

農業が始まったのはつい最近!

 農業が始まった時期については諸説がある。ヒトは現在の米・小麦という最適解にたどり着く過程で、様々な種類の植物で栽培のトライ&エラーを行っただろう。実際、ヒエ・アワのような穀物から、ミカンなどの果樹にいたるまで幅広い植物の栽培にチャレンジしていた痕跡が世界各地で歴史学者たちによって発見されている。

 世界の常識では、デンプン生産装置の王様である米・小麦の栽培が始まった時期を農業開始時期としていて、地域によって異なるがおおむね10000年前~2000年前とされている。

 ちなみに、この定義を適応すれば、稲作の伝播が遅かった沖縄県は農業が始まったのはなんとたった700年前ということになる!沖縄県に稲作が伝わった経緯は、今からちょうど700年前,中国から飛んできた1羽の鳥の糞とともに運ばれてきた米が発芽したことがきっかけらしい(ほんまかいな笑)。人類400万年の歴史からすれば本当に最近だ。

 農業開始は人類史の中でつい最近の出来事であり、農がきっかけでヒトは、数を爆発的に増殖させ、国を作り、戦いを引き起こし、産業革命がを起こし、環境を破壊し、月にも行った。農業はヒトが変化・進化するためのトリガーであり、これからも農業はそうあり続けるだろう。遺伝子組み換えや植物工場などの現代の最先端技術を知れば、それによって引き起こさせる人類の未知なる進化をニヤニヤしながら妄想することができる。実際管理人の純さんは常にニヤニヤしている。月に植物工場を建てて暮らす自分を妄想したりしている。自給ラボに訪問されるあなたも農の最先端にふれて人類の未来について夢想してみてはいかがだろうか

まとめ

・ヒトは、採集で食を消費する消費者から、農業で食を自ら生み出す存在になり、ほかの消費者とは区別すべき存在になった。

農業とは光と空気と土(栄養塩)を食料に変える装置という人類史上最大の発明品である。

・人類は農により爆速で進化。今後も農の技術が進めば人類は激変していく。自給ラボで最新の技術を知れば、人類の未来を妄想する際に役立つ(笑)。