【自給栄養学1】食物の3大機能

食べるって何だろう!食の3つの役割

私たちが食事をする目的は、

①生きていくのに必要なエネルギーと栄養を補給すること

②食べておいしさを楽しむこと

③体の調理やリズムを整えて病気を防ぎ健康になること

の3つがあります。①を”食の1次機能”、②を”食の2次機能”、③を”食の3次機能”と呼びます。今回はこの3つについて詳しく見ていきましょう。自給を考える人のみならず、ダイエットや健康増進に励む人も知っておかなければならない超基礎的内容です。

①食物の1次機能・・・栄養としての食

5大栄養素
食の1次機能・・・栄養機能

 私たちが食べた食べ物はどのようにして、生命のエネルギーとなり、体を構成する細胞になるのでしょうか。食物の栄養成分によって生命を維持し、体を成長させ、活動エネルギーとなっていく仕組みを”栄養”といいます。栄養成分は大きく5種類から構成されています。すなわち、炭水化物たんぱく質脂質ビタミンミネラルの5つです。これを”5大栄養素”といいます。この呼び方は皆さんも中学の家庭の授業で習ったと思います。

 炭水化物・脂質はそれぞれグルコース(砂糖)と脂肪酸に分解され、燃焼させることによってエネルギーを生み出します。

 たんぱく質は、それを構成するパーツの”アミノ酸”の形に一度分解されたあと、再びそれらを組み立てなおす事で筋肉などの体の組織を作ります。因みに美容に効くというコラーゲンもたんぱく質ですが、これを摂取した際も一度アミノ酸に分解されてしまうので、それが再び肌のコラーゲンとして組み立てなおされる保証がなく、次に紹介するビタミンCの助けなしでは美容効果は薄いのが事実です。

 ビタミンとミネラルは上記3大栄養素の代謝作用を調節したり、円滑に効率よく行うための助っ人的役割があります。例えばビタミンCはたんぱく質であるコラーゲンの生成を促します。ビタミンCを取らないといくらコラーゲンを食べても肌の細胞になりにくいです。またビタミンAはのどや鼻の粘膜の状態を健康に保つ機能があります。これらの詳しい機能は次の記事にまとめて紹介したいと思います。

家庭菜園でとれる野菜は、

たんぱく質が多いのが大豆、エンドウ

炭水化物が多いのがサツマイモ、ジャガイモ、イネ(育ててる人あまり見ないですが)

脂質が多いのが・・・そもそも野菜は脂質がほどんどないのでこれに該当するものはないです。しいて言うならトウガラシやエンドウ豆が数%~10%の脂肪を含みます。

ビタミン・ミネラルが多いのは・・・ほとんどすべての野菜!

つまるところ、家庭菜園で生み出される栄養のほとんどはビタミン・ミネラル類で、健康を増進を助けてくるのです。ありがたいことです。ビタミンミネラルを過不足なく取れるだけで日々の幸せにつながります。しかし野菜だけでは5大栄養素すべてをまかなうことができないので、完全自給自足はまだ難しそうです。(実は野菜の先祖様である海藻類の菜園ならこれが可能かもしれないと管理人は企んでます、別記事に書きます)

野菜はビタミンとミネラルの宝庫

 自分が育てている野菜が体の健康に与える恩恵について知るために、皆さんも一度野菜の栄養素を調べてみてはいかがですか?

因みに、どの食品にどれだけの栄養が含まれているかをだいたい推測する方法として、食品を6つに分類して大まかな栄養と機能を覚える方法があります。野菜はビタミンとミネラル、油は脂質、穀類は炭水化物、肉や牛乳はたんぱく質、と覚えてください。食品を一目見て、その栄養素を推測する技術は健康的な生活をする上で非常に重要な技術です。これがあるだけでも人生の幸福度が増します

第1群肉・魚・卵・大豆・大豆製品たんぱく質・ビタミンB2
第2群牛乳・乳製品・小魚・海藻たんぱく質・カルシウム
第3郡緑黄色野菜(濃い色の野菜)各種ビタミン。ミネラル
第4群単色野菜・果物ビタミンC,B1,B2,カルシウム
第5群穀類炭水化物、ビタミン、ミネラル
第6群油脂類・脂肪の多い食品脂肪・各種ビタミン

②食物の2次機能・・・味と香りと食感を楽しむ食

香ばしい香りのステーキ

 食べ物の味や臭いはどこから生まれてくるのでしょうか。ホタテはどうしてホタテの味がするのでしょうか。バジルはどうしてあのツンとする香りがするのでしょうか。ステーキはどうしていいにおいがするのでしょうか。・・・香りや味の源は食品に含まれている糖やアミノ酸、有機酸、精油などによる”香味成分”によるものなのです。

 食べ物を食べると、食物に含まれる、グルコース、砂糖、食塩、クエン酸、グルタミン酸などが唾液の中に溶け、舌の味蕾を形成している味細胞を刺激します。この情報がの王に伝わることで、私たちは、甘さ、苦さ、酸っぱさ、辛さ、塩っぽさなどを感じるのです。

 また、食べ物を嗅いだり口にしたりすると、そこに含まれる微量の精油成分、高級アルコール、エステル、アルデヒドなどが揮発し、鼻の奥にある嗅細胞を刺激します。この刺激を脳が受け取ることで臭いを感じます。

因みに、シャキシャキ・ムチムチ・カチンコチン・サックサクといった食感(テクスチャー)を感じるメカニズムは、歯根膜、舌、口腔粘膜などに圧力が伝わるのを神経細胞がキャッチして脳に伝わることで感じるのです。

 これら臭い、味、食感は複雑に組み合わさって食品固有の香味として脳が認識し、さらにそこへ体調、気分、食経験、社会的環境要因などの情報と合わさり、”おいしさ”だったり”好き嫌い”が生まれます。この機能は食の喜びを生み出す役割はもちろんのこと、食物をそれと認識するための重要な役割を担います。また、唾液や胃液、膵液を反射的に分泌させる役割もあります。

③食物の3次機能・・・健康維持・増進のための食

 血圧やコレステロール値の正常化して体の調子を整え、生活習慣病やがんを予防し、免疫力を高め、神経系や内分泌系を調節する”保健効果”も食物の重要な機能です。緑茶に含まれる”カテキン”という成分には抗酸化作用があって老化やがんを予防することは皆さんもご存知でしょう。他にも鯖に含まれるDHAが血液をサラサラにし血栓を防いだり、大豆に含まれるイソフラボン”が女性ホルモンを整え骨粗しょう症を防止したりと、食品の健康作用が次々に発見されてきました。

保健効果の具体例をもう少し挙げると・・・

  • おなかの調子を整える
  • コレステロール値を下げる
  • 血圧を下げる
  • 骨を強くする
  • 虫歯予防
  • 血糖値を下げる
  • 血中中性脂肪を下げる
  • 内臓脂肪・中性脂肪を減らす
  • 肌の乾燥を抑える
  • 肥満を改善する

私たちは食を通してこのような効果を得ることができるのです。 なんとありがたいことでしょう!

 今や世は健康ブーム。無数の保健食品で溢れています。よく耳にする”トクホ”は”特定保健食品”の略称で、特定の保健効果を謳った商品のことを指し、1064品目が2019年3月時点で存在しています。

乳酸菌飲料
乳酸菌が腸内環境を整える。

トクホではないもの中には科学的根拠に乏しいにも関わらず健康効果を誇張している食品もあるので気をつけましょう!因みに、”魚を食べると頭がよくなる”という音楽が鮮魚コーナーで流れていますが・・・実はははっきりとした科学的論拠がないです。”魚を食べると血液がサラサラになる”のは本当ですが(笑)。ネットの口コミだけでなく、本や論文をチェックしたいところです。

さて、今回は食の機能について説明してきました。次回は家庭菜園の主役、野菜が持っているビタミン・ミネラルの効果を詳しく見ていきましょう!