【自給栄養学2】ビタミン大辞典

 ビタミン全種類の①生理作用、②欠乏した時の症状、③沢山含有している食べ物(ランキング順)、④摂取すべき量をまとめた。ビタミンは、生存に必須なため、自給する人は是非参考にしてほしい。

ビタミンC

ビーマン
ピーマンはビタミンCをたくさん含む。

生理作用・・・

毛細血管や骨や歯、結合組織の作用を正常に保つ(コラーゲンの合成)。
鉄の吸収を高める 。 メラニンの合成を抑える。

足りないと・・・

壊血症になる。コラーゲンが合成できなくなって出血する。古傷が割ける。昔骨折した箇所がはがれる。

ビタミンCを含む食材

赤ピーマン、黄ピーマン、ゆず(皮)、パセリ、芽キャベツ、レモン、ケール、ピーマン、ゴーヤ、めんたいこ、柿、キウイフルーツ、レッドキャベツ、モロヘイヤ、イチゴ、水菜、ブロッコリー、カリフラワー、レモン(果汁)、パパイヤ

摂取量基準

100 mg

ビタミンE

いわし
ビタミンEが豊富なイワシ

生理作用・・・

脂質 (生体膜を構成する不飽和脂肪酸) の酸化防止、生殖の正常化

足りないと・・・

血管が固くなる(動脈硬化)。幼児は溶血性貧血になる。

ビタミンEを含む食材

アンコウの肝、すじこ、キャビア、いくら、あゆ、いわし、たらこ、オリーブ、ウナギ、モロヘイヤ、大根の葉、カボチャ、シソ、 とんぶり 、鯛、ホタルイカ、赤ピーマン、つくし

摂取量基準

9 mg (男子)、8 mg (女子)

ビタミンA

レバー
レバーはビタミンAを多く含む

生理作用・・・

視力、皮膚粘膜の維持。 暗い場所で目が見える。

足りないと・・・

暗い場所で目が見えなくなる(夜盲症)。
結膜・角膜乾燥症に進行し、失明する場合がある。

ビタミンAを含む食材

鶏レバー、豚レバー、アンコウの肝、ウナギ、ホタルイカ、牛レバー、あなご、しそ、モロヘイヤ、ニンジン、すじこ、パセリ、バジル、あゆ、ウズラの卵、鶏の卵、ほうれん草、 あしたば、春菊、ヨモギ

摂取量基準

700 μg(男子)、600μg (女子)

ビタミンD

鮭
鮭をはじめとする魚類にも多いビタミンD  

生理作用・・・

骨へのカルシウム吸収・沈着を促進

足りないと・・・

骨折しやすくなる(骨粗しょう症)

ビタミンDを含む食材

アンコウの肝、シラス干し、イワシ、身欠きニシン、すじこ、いくら、かわはぎ、さけ、いかなご、さんま、うなぎ、ひらめ、マグロのトロ、数の子、あゆ、さんま、いさき、たちうお、コイ、カレイ、まかじき、にじます、さば

摂取量基準

5μg

ビタミンB1

ぶた
ビタミンB1と言えば豚肉が有名

生理作用・・・

糖代謝系の補酵素

足りないと・・・

疲労物質の乳酸がたまり疲れる。 また、末梢神経がおかされ、足がしびれたりむくんだりする(脚気)。玄米には含まれているが、白米には含まれていないので、白米を食べる日本人はビタミンB1欠乏症で亡くなる人が最近まで居たそうだ。江戸時代は脚気がはやり、13代徳川将軍の死因にもなっている。

ビタミンB1を含む食材

豚肉、たらこ、うなぎ、牛のハツ、すじこ、いくら、鴨、鶏レバー、豚のハツ、鯛、明太子、大根ぬか漬け、グリーンピース、マスタード

摂取量基準

1.1 mg(女子)、1.4 mg(男子)

ビタミンB2(リボフラビン)

ウナギ
ビタミンB2を多く含むウナギ

生理作用・・・

酸化還元系の補酵素。エネルギーの代謝、皮膚粘膜の健康維持、過酸化脂質の分解。

足りないと・・・

口内炎、舌炎など 皮膚粘膜に炎症。 脂漏性皮膚炎(頭がフケだらけで痒くなる)。 目が充血してゴロゴロ。子供では成長障害。

ビタミンB2を含む食材

レバー、ウナギ、ウズラの卵、鴨、うに、すじこ、さば、ズワイガニ、納豆、いくら、たらこ、卵の黄身

摂取量基準

1.6 mg(男子)、 1.2 mg(女子)

ビタミンB6(ピリドキシン)

ニンニク
ニンニクはビタミンB6の宝庫!

生理作用・・・

たんぱく質の代謝、エネルギー産生、アミノ酸への分解・合成、神経伝達物質の合成。 脂質の代謝を助け、肝臓に脂肪が蓄積するのを抑える。 免疫機能の維持。皮膚や粘膜の健康維持。
たんぱく質を多くとる人の場合は、それを代謝するためのビタミンB6もたくさんとる必要がある。

足りないと・・・

湿疹、脂漏性皮膚炎、貧血、免疫力低下、リンパ球減少症、けいれん

ビタミンB6を含む食材

ニンニク、びんちょうマグロ、酒粕、牛レバー、まぐろ、かつお、鶏肉、いわし、鮭、鴨、豚レバー、サンマ、アジ、さば、ローストビーフ

摂取量基準

1.4 mg(男子)、 1.2 mg(女子)

ビタミンB12

生理作用・・・

赤血球の形成。脂肪酸や核酸やたんぱく質の合成・修復。

足りないと・・・

悪性貧血、神経障害になる。かなりの偏食をしない限り欠乏症にはならない。

ビタミンB12を含む食材

しじみ、赤貝、すじこ、牛レバー、あさり、北寄貝、いくら、鶏肉、アンコウの肝、いわし、ハマグリ、かき、豚肉、たらこ、牛ホルモン、さんま、キャビア、さんま、にしん、ホタルイカ、車庫海老、牛ハツ、あゆ、ホタテ

摂取量基準

2.4μg

ビタミンK

納豆
ビタミンKと言えば納豆!

生理作用・・・

怪我したとき血が早く止まる(血液凝固作用)。カルシウム代謝を助ける。

足りないと・・・

血液凝固に時間がかかる。腸内細菌によっても合成されるため、欠乏することは稀。

ビタミンKを含む食材

納豆、パセリ、シソ、モロヘイヤ、あしたば、春菊、バジル、カブの葉、ひじき、つるむらさき、ダイコンの葉、よもぎ、こまつな、ほうれん草、つまみ菜、ケール、カイワレ大根、クレソン、シソの実、わけぎ、サニーレタス、せり、

摂取量基準

150μg

葉酸

枝豆
枝豆は葉酸を多く含む。

生理作用・・・

核酸・アミノ酸代謝。血を作る(造血作用)。

足りないと・・・

通常の食生活で不足することはないらしい。

葉酸を含む食材

レバー(鶏・牛・豚)、ウナギの肝、うに、えだまめ、モロヘイヤ、芽キャベツ、ぱせり、ほうれん草、あさつき、菜の花、よもぎ、春菊、アスパラガス、酒粕、すじこ、日本茶、クレソン、レバーペースト、水菜、卵、そら豆、子葱、わけぎ、ニンニクの茎、サニーレタス、納豆、ブロッコリー、ケール

摂取量基準

240μg

ナイアシン(ニコチン酸)

まぐろ
マグロにはナイアシンがたくさん!

生理作用・・・

糖質、脂質、たんぱく質から、細胞でエネルギーを産生する際に補酵素として機能。皮膚粘膜の健康維持。アルコールの分解に関わり、お酒を飲む人ほどたくさん消費される。

足りないと・・・

顔や手足など日光に当たりやすい部位の炎症がおき、下痢や精神神経障害を起こす(ペラグラ)。

ナイアシンを含む食材

たらこ、びんちょうマグロ、かつお、まぐろ、いわし、マグロの赤身、豚レバー、豚肉、メバチマグロ、牛レバー、鯨、鶏肉、さば、まかじき、めざし、さんま、さわら、ぶり、鴨、ハマチ、まいたけ

摂取量基準

14 mg(男子)、 11 mg(女子)

パントテン酸

レバー
レバーは栄養満点。パントテン酸もたくさん!

生理作用・・・

脂質、糖質、たんぱく質の代謝を助ける。善玉のLDLコレステロールを増やす。皮膚粘膜の健康維持。

足りないと・・・

普通の食生活で欠乏することはない。


パントテン酸を含む食材

レバー(鶏・豚・牛)、鶏ハツ、卵の黄身、納豆、たらこ、ウナギの肝、豚ハツ、子持ちカレイ、すじこ、キャビア、いくら、鴨、牛ハツ、まつたけ、モロヘイヤ、あゆ、アボガド

摂取量基準

5mg(男子)、 4mg(女子)

ビオチン(ビタミンB7)

コーヒー
コーヒーにはビオチンが含まれている。

生理作用・・・

糖、脂肪、アミノ酸の代謝補酵素として、エネルギー生産を助ける。皮膚粘膜・髪・爪の健康。持、

足りないと・・・

腸内細菌が作り出すので欠乏することは稀。欠乏した場合、アトピー性皮膚炎や脱毛などの皮膚症状や食欲不振、うつなどの症状が現れる。

ビオチンを含む食材

酵母、まいたけ、鶏レバー、からし、落花生、ウシレバー、コーヒー、きくらげ、豚レバー、牛レバー、おあのり、卵の黄身、アーモンド、バジル、煎茶、とうがらし、※、あおさ、大豆

摂取量基準

50μg

 ビタミン辞典はここまで!ビタミンCはやっぱり野菜類が独占。植物は光合成の時に発生する活性酸素から身を守るためにビタミンCをたくわえるから、ほかの食品よりたくさん含まれている。その他のビタミンに関しては、レバーや魚、卵が含有量上位を占めている。レバーは栄養がありすぎ。特にアンコウの肝が何度もランキング最上位に出てくるのは驚きだ。野菜とレバー(か魚)を食べていればビタミンの摂取はバッチリだ。しかし思ったより野菜の出番がなくて少し残念・・・

【番外編】β-カロテン(ビタミンAのもと)

ニンジン
βカロテン代表といえばニンジン!

生理作用・・・

体内でビタミンAに変換される。”ビタミンAのもと”のような存在。抗酸化作用。免疫強化。

足りないと・・・

特に何か起こるわけではない。

β-カロテン を含む食材

シソ、モロヘイヤ、ニンジン、パセリ、バジル、アシタバ、春菊、よもぎ、ダイコンの葉、ほうれん草、ミツバ、カボチャ、赤肉メロン、にら、ヒジキ、カブの葉、つるむらあき、ケール、クレソン、わけぎ、シソの実、菜の花、リーフレタス、子葱、サラダ菜、根みつば

 β-カロテンを強調したのミニトマト苗をホームセンターでよく見かけるが、実はシソやモロヘイヤのほうが何倍も多く含んでいる。バジルは家庭菜園でおなじみの野菜、たくさん食べるのは難しいけど、ビタミンAを取るのに役立つ。

摂取量基準

取らなくても死なないので摂取量基準はない。

 ビタミンAはレバーに多く含まれてるけども、多くの野菜に含まれているβ‐カロテンはビタミンAに体の中で変換される。多くの野菜はビタミンCだけでなくビタミンAの供給源としても活躍しているわけだ。

 余談だが、ウズラの卵は野菜では摂取が難しいビタミンB群をかなり豊富に含んでいて、これが自給ラボが野菜と共にウズラを育てようと挑戦している理由の一つだ。野菜と卵でかなりのビタミン類をカバーできるのだ。

 今日の講義はここまで!次の記事ではミネラルを紹介する。