”誰もが、どこにいても、食料を作り、食べて、出荷するシステムを作りたい! ”
魚やエビなどの水産物と野菜を同時に育てることができる”アクアポニックス”で、雇用と食を生み出し途上国の貧困を解決しようというプロジェクトを、関西学院の学生団体”collejob”が企て、それを実行するための 資金を クラウドファンディングサイト”CAMP FIRE”で募っている。
学生団体collejobは関西学院の経済学部と商学部の1年生3人で構成されており、このプロジェクトをやろうと思ったワケは、
”私達は大学入学当初から、多くの人の助けとなるビジネス提案をしたいと考えていました。人は食糧を購入するために働きます。つまり雇用を創出しながら、食糧を生産することは雇用問題・食料問題を同時に解決できる手段になり得るのではと考え、上記の事業プランを作成しました。”(collejobより引用)
というもので、志の高さを感じる。
同団体の考えるビジネスはこうだ。まず途上国にてアクアポニックスシステムを有料で貸し出し、野菜と魚を現地の人に作ってもらい、そこで得られる収穫物を買い取る。これによって現地での雇用を生み出す。同時に食料も生み出すから自給率が上がる。次に買い取った野菜や魚を自社工場で加工して販売し、それらを小売店に卸すことで利益を得る。というものだ。育てる魚は、皆さんスーパーで最近よく見かける”バナメイエビ”というエビだ。このエビを選ぶ理由は育てやすく販売単価が高いというものだ。野菜も販売単価がそれなりに高く需要の多いハーブ類を育てるようだ。
【交通費援助求む】海外ピッチバトルで賞金1億を狙う!
同団体はこのビジネスを実現すべく、ハルトプライズというサンフランシスコで開かれる世界最大級社会起業家向けの学生ピッチバトルに参加し、最優秀賞の賞金である1億円獲得を目指している。今回のファンディングの目的は、そのピッチバトルに行くための3人分の渡航費を集めるというもの。その金額は55万円が必要であるものの、現段階では6千円しか集まっていない。期限が今月末であと10日。もし自給ラボの読者の方で支援していただける方がいらっしゃれば嬉しい。
【補足】バナメイエビの知られざる凄さ
本文から少しそれるが、 バナメイエビエビ(以下バナメイ) のお話を少ししたい。バナメイはクルマエビのお友達で、見た目も大きさもクルマエビに結構似ている。有名なブラックタイガーエビもクルマエビの仲間。バナメイを知らない人はそれらを想像してもらうといい。
【爆速で大きくなる】2ヶ月で出荷サイズに!年6回転の養殖が可能
バナメイの一番の特徴はその成長の速さ。4センチ前後の稚エビから養殖スタートして、商品サイズの15センチ程度になるのに2か月しかかからない。1年間に5~6回育てることができるため、小さいスペースでも非常に効率的にエビを育成し多くの利益を得ることができる。日本でも、大阪の古民家(200㎡くらいの狭さ)でバナメイを養殖している業者があるほど!
【食べた分だけ大きくなる】驚異の増肉係数=1!!!
養殖に適した生き物を評価する重要な指標に増肉係数というものがある。与えたエサの量(乾燥時の重さ)に対して対象物がどれくらい大きく (重さ) なったか、というものだ。例えばマグロは増肉係数が15なのだが、これは、マグロ肉1キロ作るのに乾燥重量で15キロの餌が必要ということになる。一方ブリは増肉係数が2で、ブリ肉1キロ作るのに餌が2キロで済む、ということになり、ブリのほうが養殖に向いてそうだな、とわかる。さて本題のバナメイだがその増肉係数はなんと1!!!1キロの餌がそのままエビ肉1キロになるという養殖にぴったりの生き物だ。この特徴から、国連がバナメイを世界の食糧危機を救うエビと位置付けているほどだ。
【高い環境適応性】海の生き物なのに汽水や真水でも育つ。
バナメイはもともと 、メキシコの北西部にあるソノラ州からペルー北部にかけて、東太平洋の沿岸部に生息している”海のエビ”だ。しかし彼らは非常に環境適応性が強く、汽水でも成長することができるし、淡水でもストレスはかかるものの生きることができる。本来海産物の養殖には塩分濃度の厳密な管理が必要で誰でも簡単にできるものではなかった。しかしバナメイの養殖は塩分濃度をあまり気にする必要がないため、養殖のハードルがぐっと下がる。さらに病気にも強いため、途上国のあまり知識がない人でも養殖を始めやすい。このような特徴からここ10年でアジア諸国でバナメイ養殖が爆発的に広まった。
まとめ
バナメイとハーブのアクアポニックスによる途上国貧困解決プロジェクトの紹介を行った。この記事を読んで少しでも応援したくなった人はぜひクラウドファンディングで出資してほしいと思う!