【植物の本能解放】水耕栽培がヤバい理由!
みなさん!!水耕栽培楽しんでいますかー????
水耕栽培は土の代わりに養分を含んだ水で植物を育てる栽培方法です。スーパーのネギを、根っこを捨てずに残して水につけておくと、またネギが生えてきて節約になる、なんて話を聞いたり実際にやっていたりする方も多いでしょう。これ、土じゃなくて水を使って栽培しているから、水耕栽培なんです。土を使わないっから虫がつきにくく、成長速度も抜群なのが魅力な 水耕栽培は 近年人気上昇中で、多くの方がチャレンジしています。
トマトを”巨木化”してしまう水耕栽培
写真は”トマトの木”です。写真の棒人間は実際の人のサイズです。つまりこの木は6メートルくらいの高さがあります!1本の木からトマトの実が1万3千個!・・・・こんな特殊な品種があるのか!?と思われた方。実はこれホームセンターの園芸コーナーに売っている普通のトマトです。こんなに大きくなった理由は栽培方法にあります。そう、水耕栽培です。
植物が海にいたときの記憶を取り戻す!
地球に生まれた最初の生命は、海で生まれました。植物も、もともと海にいました。海藻や藻類は昔から海の中で暮らす植物で、彼らは恐ろしいスピードで増殖します。 海藻の一種でお味噌汁によく入っているアオサは、1週間で重量が2倍、2週間で4倍、1ヶ月で10倍以上に成長します!!!彼らの中の一部は進化の過程で、海での生存競争から逃れるべく地上に”仕方なく”進出しました。でも地上は海より暮しにくいみたいで、地上の植物は海の植物の数分の一の速さでしか成長できません。アオサのように1ヶ月で10倍とはいかないみたいです。
でも本当は海の中で、のびのびと暮らしたいのでしょう。
水耕栽培はそんな彼らの願いを叶える素敵な栽培方法なのです。
水耕栽培によって水中に帰化した彼らは喜び上がって、海にいたときの爆発的な増殖能力を発揮します。その結果写真のトマトのように土壌栽培ではありえないほどの成長を私たちに見せてくれるのです。
【簡単!】水耕栽培に必要な3つのモノ
①水耕栽専用肥料
水耕栽培は植物の根を水の中に漬けた状態にします。ただの水道水ではありません。植物が育つための”水”を用意する必要があります。そのために必要なのは、彼らの故郷、”海”を想像する必要があります。海の水にはミネラルが豊富です。ミネラルとは、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、鉄、マンガン、モリブデンなどといった無機塩類です。これらは植物が健康的に成長するのに必要です。”海洋深層水”という海の深いところにある、綺麗でミネラルたっぷりの水を、水道水と混ぜて水耕栽培している農家さんもいます。でも、家庭菜園するのに海洋深層水を取りに行くわけにもいかないですよね。そこで、植物に必要なミネラルが凝縮された液体”ハイポニカ液肥”がおすすめです。1箱980円で、1トンの液体肥料がつくれます。お近くの園芸屋さんやホームセンターで手に入ります。あ、もちろんですが植物が育つには窒素源である肥料が必要です。が、ハイポニカにはそれらも配合されているのでこれ1本で液体肥料作りは完璧です。
ちなみに、パイポニカとよく似た名前で”ハイポネックス”という液体肥料が販売されていますが、これにはミネラル分が含まれておらず肥料のみとなっているので、別途ミネラルを配合する必要があります。初心者の方は”ハイポニカ”が絶対おすすめです。
②水を張る容器
水耕栽培は、根を液肥の中に漬けないといけないので、バケツのように水がたまる容器が必要です。普通のプランターは水切り穴が開いているので全く使えません。キッチンハーブなど小規模の水耕栽培なら、ペットボトルを切った容器も使えます。ベランダでミニトマトを植える規模だと、ホームセンターで売ってるコンテナや衣装ケースがおすすめです。要するに水がたまれば何でもいいわけです。ただ、注意点があります。液肥にはミネラルが含まれているので水道水よりも物質を侵食する力が強いです。海水と同じで、金属を錆びさせるので、ブリキ缶とかせんべいの缶とか金属製のものはやめましょう。オススメはプラスチックやアクリルやガラスなど化学的に安定な物質でできた容器です。あと、付け加えるなら遮光性が高い容器がいいです。光が容器の中に入るとコケが生えて生臭くなり栄養も取られてしまうからです。水耕栽培の雑草といえば、水中のコケ!雑草対策はしっかりしたいものです。
③水を循環させる仕組み
植物の根は呼吸してます。葉は光合成で酸素を作り出していますが、根は酸素を消費しています。根の周りの酸素がなくなると根腐れを起こして枯れてしまいます。土壌栽培でも同じですね。土壌栽培で畑の土を耕すのは、土に空気が通る隙間を作るためなんですよ。水耕栽培でも”耕す”作業が必要です。
水耕栽培において、根に酸素を送り込むにはまず、溶液中に酸素がたくさんある必要があります。溶液に酸素はとある決まった量を上限に自然とゆっくり溶けていくので、水面が空気に触れていれば酸素は溶け込んできてくれます。しかしこの方法だと容器の底のほうまで酸素が行きわたるのにすごく長い時間がかかってしまいます。そこで水を揺らしたりかき混ぜたりして酸素が素早く溶けるように工夫する必要があります。水を揺らす簡単な方法は手でかき混ぜることですが、現実的ではないので、エアーポンプを使いましょう。金魚のぶくぶくです。一番安いやつで大丈夫です。これを液肥を張った水耕栽培容器の中に入れてブクブク泡を発生させて水面を揺らせば酸素リッチな溶液が出来上がります。ちなみに、ブクブクの泡は大きいほうがたくさん水面を揺らすことができて酸素が溶けやすくなります。”泡が細かい=酸素たくさん”という宗教には入らないほうがいいです、高額なエアーストーン(ブクブクの先に着ける石)を買うことになります(笑)!
そして、酸素たっぷりの溶液を根に送り込むには、根の周りの溶液が移動して入れ替わる必要があります。 酸素は 水1リットルあたり、常温で100分の1グラムも溶けることができないので、常に水を動かして酸素を含んだ溶液を送ってあげないと窒息死します。前述のエアーポンプである程度溶液の移動が起こるので、根腐れを防ぐことができますが、植物が成長して、容器が根で溢れかえるとその移動もだんだん起きにくくなり、枯れやすくなります。そこでアクアリウムに使われているような小型の水中ポンプを使って溶液を循環させると根がたくさん増えても解決します。
水耕栽培のコツ&豆知識集
・根は上部半分が空中に浮いて液肥につからないようにすると根腐れが起きにくい
・ミニトマト夏のワンシーズンだけで1株1万個収穫する人もいて、数を競うコンテストもある。土壌栽培だと1000個取れればいい方。
・溶液に漬けておくだけの方法と、エアーポンプで水を動かす方法では成長速度に雲泥の差がある。水につけておくだけにするなら土に植えたほうが早く育つ。
・水耕栽培での成長速度は土壌の1.2~3倍。品種によってまちまち。
・液肥の濃度が濃いと浸透圧が高くなるので植物が溶液を吸いにくくなり枯れやすくなる。加えて、収穫時に残留硝酸態窒素も増えて味も苦くなり、アブラムシなどの害虫も付きやすくなるので、悪いことだらけ。ハイポニカは規定量か、それより少し少ない量で使うべき。
・ベランダいっぱいにミニトマトが広がるくらいに大きくなると(苗から2ヶ月でこの状況になる人もいる)、1日数リットル液肥を消費するので給水が大変。自動給水器を自作するのがオススメ。
・水換えはせず、減った分を水道水で追加していく。容器の容量の2/3くらいの水を足した頃に、ハイポニカを追加。追加量は初めに溶液を作った時と同じ量で。
・水耕栽培で育てるのが難しい品種もある。果実類は高度な技術がいるのでハードルがとても高い。レタス、ミツバ、ほうれん草、水菜、スイスチャード、空心菜、ミニトマト、シソ、ネギ、豆苗、オクラあたりが簡単でおすすめ。
・コケ対策にアルミ反射シートがおすすめ。容器に張り付けるだけで全然コケの生え方が変わる!溶液の水温変化をなだらかにする効果もあってオススメ。
・容器の水を貯めては抜いて、貯めては抜いて、を繰り返すことで確実に新しい液肥を根に行きわたらさせる高度な液肥循環方法もある。まさに潮の満ち引き。水位センサーを使ったり、ベル・サイフォンを使ったりして実現する玄人向け。
・土を使わない農業は、水耕栽培以外には、ロックウール栽培、点滴栽培、霧栽培、ハイドロボール培地栽培など様々な種類が存在する。
・液肥は自前で作ることも可能。コンポスト肥料と同じ様に量で生ごみを微生物に分解させることで液肥を作れば、オーガニック水耕栽培が可能。この方法については後ほど記事にする。
・水槽に魚を飼っている人なら、飼育水を液肥代わりに使うことで、水質浄化とともにオーガニック野菜栽培が実現する。この方法を”アクアポニックス”とよぶ。ただし飼育水中に魚の糞を分解してくれる微生物が湧いている状態でないと水が腐り野菜の根も腐るので、微生物環境を安定させるテクニックが必要で少し難しい。経験豊富なアクアリストなら余裕。
まとめ
・水耕栽培で植物がなぜすごい成長を見せるか、それはかつて彼らの祖先が海にいた時の本来の姿に寄り添う形の栽培方法だからです。
・①ハイポニカ、②コンテナ、③エアーポンプの3つがあれば水耕栽培が始められます。