【おもろい特許みっけ】魚介類と海藻の同時養殖

【特許名】循環海水を用いた海産動物養殖方法及び海産動物養殖用水槽システム

アクアポニックスの海水版みたいな特許があったのでシェア。発明の内容はつぎのとおり。

①魚介類の飼育水槽(図で1aの部分)で出たエサの食べかすを、水槽底部(図で2aの部分)にいるゴカイなどの多毛類に処理させる。

②魚介類と多毛類が排出するアンモニアが微生物によって分解されると硝酸塩濃度が上がるので、別途設けた海藻水槽(図で3a)で栄養として吸収してもらって処理することで、養殖に有害な硝酸塩を増加させにくくする。

・・・・なんと面白い!魚介類を育てるついでに、ゴカイと海藻まで育ててしまい、さらに水質も綺麗になるから水替えがいらない!まさに自然の循環を再現した養殖方法だ。養殖業界はこれまで、魚だけ、貝だけ、野菜だけ、海藻だけ、って分けて養殖していたけど、本当は物質的にすべてつながっていて、最近は自然の大きな循環を模倣した養殖方法が注目を浴び始めている。循環の中で養殖することで、より自然体に近いオーガニックな食糧が得られるからだろう。

実用化はあまりされず・・・

しかし、現段階では、コストの面やシステム構築の難しさの問題から普及には至ってない。微生物、植物、魚介類をハーモニックに育てるには、温度、照度、水の流れなど多くの設定すべきパラメーターがあって熟練の技術がいるからだ。こういう部分こそ人工知能にやらせるべきだと思う。自給ラボでは温度・湿度・照度・水流の強さとタイミングといった様々なパラメータをコントロールできる人工気象システムを人工知能に操作させてハーモニックな栽培が実現できるように研究中だ。

あなただけの循環栽培法を確立しよう

現在、循環を利用した栽培方法で主流なのはティラピアやバナメイエビなどの川魚と、ハーブなどの野菜を同時に育てる方法だ。この方法が主流なのは、飼育が簡単で収穫物の単価がそれなりに高く、経済的に成り立つ(ギリギリだけど)からだ。しかし、自給となれば経済的な損得勘定はある程度薄くなるから(というか自家栽培オーガニック野菜はプライスレスだからね!)、これらの組み合わせ以外の、あなただけのオリジナルを作れるはずだ。組み合わせのサンプルは例えば”クルマエビ×アナアオサ”など特許で多く公開されているので、興味にある方は調べてみてほしい。ちなみに、特許は期限切れや登録されなかったものは使用しても問題ないので、バンバン調べて自分の生活に取り入れてほしい。自給ラボでも面白くて使えそうな特許をどんどんシェアしていくのでお楽しみに!

特許詳細

因みにこの特許は株式会社海洋栽培センターってところが出していて、1997年出願、1999年に特許登録されていて、特許番号は”特許第3053077号”。全文を見たい方はコチラ↓

https://www.j-platpat.inpit.go.jp/web/tokujitsu/tkbs/TKBS_GM301_Detailed.action