太陽光発電の発電効率の限界

エネルギーの自給と言えば真っ先に太陽光発電が頭に浮かぶ人も多いでしょう。実際、エネルギーを自給する手段として最も多くの人が活用しているのが太陽光発電だと思います。エコに暮らしたい人が住宅の屋根に取り付けたり、小屋暮らしやBハウスでのオフグリッド電源として設置されていたりと様々なシーンで使用されているのが太陽光電池です。

 さて、その太陽光電池ですが、発電効率が現在どの程度で、どれくらい改善の余地が残されているか、といったことは意識されている人は少ないかと思います。しかし全電源を太陽光で賄おうとするオフグリッドにチャレンジされている方は気になるんではないでしょうか?

変換効率100%の世界を夢想してみる

 まず限界から。発電効率とは投入した太陽の光エネルギー(W)に対して得られた電気エネルギーの割合(W)で表現されます。太陽は地面1平方メートルあたり1000Wの光エネルギーを放出しています。この時、限界の変換効率100%で考えてみると、1平方メートルの太陽パネルで1000Wの電力が得られます。1000Wの電力があれば、”エアコンフル稼働(700W)+冷蔵庫(100W)+部屋の照明つけっぱなし(200W)”もできますし、売電すれば1時間で30円儲かります(1日10時間太陽が出ていれば300円、1ヶ月で1万円!)。たった1㎡という畳半分ちょっとの大きさのパネル1枚で。こんな夢の太陽光パネルがあれば喉から手が出るほど欲しいですよね!

現在の太陽光パネル発電効率。伸びしろ5倍。

 さて、実際今一般的に使用されている太陽電池の変換効率は20%あればよいところです。1平方メートル当たり、1000Wの20%ですから、200Wの電力が得られるということです。エアコン・冷蔵庫・照明をフル稼働させるには5平方メートルの太陽パネルが必要になってきます。畳3枚分です。これから技術が発展して変換効率が100%に近付くときまで、あと5倍の伸びしろがあるという認識を持っていただけたら、と思います。すでに太陽パネルを設置されている方は、今後今の発電が5倍くらいまで増える!と妄想していただけたらと思います。

シリコン型太陽光電池の理論上の発電効率限度は27%!

太陽光電池はシリコンという物質でできています。シリコンは電子部品(半導体)に使われていて、現代のハイテク生活を支える重要な物質です。性質の異なる2つのシリコンをくっつけてその接合面に光を当てると電子が移動して電流が流れ発電する現象を太陽電池は利用しています。光の力で電子を動かすのが太陽発電の基礎理論です。さて、この光についてですが、どんな光でもいいわけではありません。青や紫の光ではよく発電しますが、赤い光ではほとんど発電しないのです。太陽光は青い光、赤い光のほかに、紫外線・赤外線など目に見えない光までたくさんの種類の光を含んでいます。その中で利用できる光のエネルギーは全体の27%です。つまりシリコン型太陽光電池の発電効率限度は27%ということになります。現在20%程度の効率ですから、伸びしろはのこり7%ということになりますね!

変換効率45%達成のニュース!

・・・しかし、これはシリコンを使った太陽電池の話です。この限界を打ち破るため、太陽電池の素材の見直しが世界各地で行われていて、様々な素材を使った太陽電池が研究・開発されています。その中で人類史上最大の変換効率をたたき出したツワモノ太陽電池が数年前に現れました。45%です。普通の太陽電池の2倍です。この太陽光パネルの詳細は別記事で後ほど紹介するのでお楽しみに!